
竜災
ラゴニア周辺で発生する巨大な災害を"竜災"と呼びます。
発生する周期も規模もばらばらで、正確な発生時期を予測することは難しいとされています。それらを予測するのが竜巫女ですが、竜巫女の力を以てしても、前後1週間ほどのラグはあるようです。
竜災に分類される災害は様々ですが、最も多いのは雨と、雨に起因する災害で、比較的雨に強い地形でありながら、甚大な被害を被ります。
竜災が竜災と呼ばれるのには、2つの理由があります。
ひとつは伝承によるもので、竜の恩恵を安逸に貪り、感謝をしなかった人間たちに対して、恩恵を与えた竜が怒ったために災害が発生する、というものがあります。
もうひとつは、災害の最中、竜の姿が確認されることです。
過去に目撃した人物は既に故人のため、これも文献に残るのみですが「豪雨の中、雲の中でとぐろを巻く巨大な竜を見た」「4つ足を持つ鰐のような竜が現れ、歩くたびに大地が揺れ、ひび割れていった」など、竜の姿やその性質も様々です。
竜災にたいして「竜は実際には存在せず、竜災とは、一種の自然信仰である」といった意見を持つ研究者もいますが、信仰を否定する考え方であることや、ラゴニアに住む人々への配慮の点から、あまり大々的に発表されていないようです。
竜災の予兆
竜災の発生する少し前には、"竜災の予兆"が発生すると言われています。
内容は様々ですが、多くは"なんとなく嫌な感じがする"というもので、実際に関係があるかどうかは不明です。
記録に残っているだけでも、過去に数十回以上はラゴニアは滅亡、復興を繰り返してきました。以下に挙げる竜災は、その記録の中でも周辺の地形に甚大な被害をもたらしたものです。
"始まりの竜災" グドラ
魔法文明時代初期に発生し、甚大な被害をもたらした竜災です。
文献に残る「神なる騒ぎが空を覆い、大地は揺れ、人々は立ち上がることさえできなかった。山は崩れ、河はあふれ、家、倉、壊れたものは数知れず」という記載から、相当規模の災害であったことが予想されまが。この竜災を機に、竜巫女が誕生し、以降 ラゴニアの重要な存在となります。
目撃されたのは、4枚の翼をもつ巨大な竜で、体長は見渡す限りでは視界に収まらず、大陸を一飲みにできるほどの巨大な口を持っていたとされています。
"大地の竜災" レスヴェル
魔法文明時代後期に発生した竜災で、災害の中心となったのは、大規模な地殻変動です。
噴火をはじめとして、様々な災害に見舞われました。特に、降灰による影響はそのご数十年に及びラゴニアとその周辺地域に甚大な被害をもたらしました。
また、この地殻変動により、ラゴニア南西には広大な丘陵地帯が生まれます。この逸話から、レスヴェル丘陵と呼ばれています。
目撃されたのは、ずんぐりとした胴体に、亀のような手足を持つ二足歩行の赤い竜です。
"暴雨の竜災" ヴァイ
レスヴェルから数年以内に発生したとされる竜災です。
豪雨と暴風からなる災害で、ヴァイが過ぎ去った後には、いくつもの池と川が出現したとされています。し かし、レスヴェルの影響で火山灰の混じった層ができていたため、水はけはよく、復興にはそこまでの時間はかからなかったようです。
地殻変動によって生まれた溝に水が流れ、ラゴニアの北と南に2本の川が流れました。
目撃されたのは、空を泳ぐように移動する竜の群れです。複数個体の竜が確認されたのは、この時が初めてです
"終の竜災" リトラ
数年前、ラゴニアを壊滅させた竜災です。規模としては(記録に残る中では)おそらく最大規模のものです。
リトラを最悪たらしめるのは、竜災そのものの規模以上に、竜巫女の予見が遅れたことにあります。竜巫女の力が及ばなかったのか、竜災そのものに予見されづらい特徴があるものだったのか、理由は定かではありませんが、結果、竜巫女も命を落としました。現在は、ほとんど唯一生き残りである"メイ・アロスト"が、なし崩し的に竜巫女を務めています。
目撃されたのは、翼、腕、足を1対ずつ持つ巨大な黒い竜です。
